読書へのアニマシオン

甲州市では『読書へのアニマシオン』を多くの場所で実践しています。

『読書へのアニマシオン』って何?

1970年代にスペインでモンセラット・サルト氏とそのグループが子どもたちのために開発した読書教育プログラムです。

『アニマシオン』という言葉は「わくわく、どきどき」活性化の意味です。
語源はラテン語のアニマ(魂・命)。
ヨーロッパで1960年代から社会教育の分野で盛んになった活動で、アニマシオンを実践する人はアニマトゥール(仏)アニマドール(西)アニマトーレ(伊)とよばれています。

『子どもを読み手に育てるために」

読書へのアニマシオンとは ~サルト氏の基本的な考え方~

  • 子どもが本を読めるようになるためには教育が必要である
  • これは本に背を向けた子どものための教育法である
  • 子どもの読む力を引き出すために、創造的な遊びの形をとる
  • 子どもは読書を内面化し、作戦の中で他の子どもと客観化した後に、自分の主観的な読書として、各自のスキーマをつくることで、奥深く読む読み手に育っていく

《 メソッドの特徴 》

  • グループで参加型の読書会
  • みんなで同じ本を読んだ後、「作戦」と呼ばれる遊びを行う
  • 「作戦」には読む力を育てる「ねらい」があり、1回に本1冊で「作戦」をひとつ行う
  • 作戦」の中で個人の意見・考えを表し、ほかの参加者との本を媒体にした交流が生まれる
  • 本の喜びを味わうことにより、次回の読書への動機づけになる
  • アニマドールは知識を教える人ではなく、子どもの言葉を引き出す、本と子どもの仲介役である
  • 継続して実施することにより、子どもたちが楽しみながら本を深く理解できるようになる
    また、本を読み解き、自分の言葉で伝えられるような積極的な読書のできる個人を育てる

※参考図書                      
『読書へのアニマシオン 75の作戦』 柏書房 2001年刊行
モンセラット・サルト=著 宇野和美=訳
カルメン・オンドサバル+新田恵子=監修

甲州市立図書館では、子どもたちへの継続的なアニマシオンを行っています。

  • 勝沼図書館
    幼児・低学年向けおはなし会「ピーター・パン」にて、年3回のアニマシオンを実施
  • 全館
    小学1.2年生への学校巡回アニマシオン(甲州市全小学校で実施)
  • 勝沼図書館
    小学3.4年生対象『子ども読書クラブ・カムカムクラブ』の実施

学校巡回アニマシオン

子どもたちがアニマシオンを通じ、本を読む楽しさを体験することで、次なる読書活動へつながるよう学校図書館司書とも連係をとりながら、子どもを導く手助けをしていきます。

『本を読むことで、楽しい時間を共有できたという実感を子どもたちが持てるようにする』

作戦は、本と子どものことをよく知っている熟練したアニマドールによって計画的に進められますが、アニマドールの役割は教えることではなく、子どもの力を引き出すことにあります。
遊びと沈黙による内面化を通して読みを深め、批判的かつ創造的に考える力をつける足掛かりにしようとするものです。


遊びと学習には密接な結びつきがあります。
遊びはリラックスした雰囲気(楽しみ)のなかで自発的かつ積極的な参加を促し、大人の介入を最小限にして子どもを中心としたコミュニティを形成する助けとなっていきます。
遊びのなかで子どもたちは、お互いに感情の共有や表現の交流を図るとともに、様々な体験を通して認識能力を発達させ、ものの考え方や方法論などを身に付けることができるのです。

『作戦後の読書へのいざない』

学校巡回アニマシオンは、使用する本が子どもたち1人に1冊ずつ渡るようにして作戦を行っています。

作戦後は関連本の中から1冊を読み聞かせ、紹介をしたうえで最後に学校図書館所蔵の関連本を紹介します。
アニマシオン後、学校図書館へ足を向けさせるまでが連携事業だと考えます。学校司書と連携を取ることで、「継続した読書」ができるような活動を行っています。

巡回アニマシオン終了直後から、教室には学校司書が学校図書館の蔵書の中から用意した「アニマシオンBOX」を設置します。中身は作戦のテーマに沿った書籍を選んだものです。

学校図書館だけでなく、教室に本を設置することで、次の読書・利用促進へと繋がっていきます。各校で関連本が足りない場合は、図書館が貸し出しをする、相互協力も行っています。

図書館司書・学校司書が打合せを重ねて、学校巡回アニマシオンは成り立っているのです。

蔵書検索・利用照会